「ご相談はお早めに」はナゼ?
弁護士の宣伝のホームページを見ると、必ずと言っていいほど、「お早めにご相談にいらしてください」と書いてあります。そもそも、弁護士も、集客目的でホームページを制作しているわけですから、「是非、うちの事務所に相談に来てください」と呼び掛けるのは、当然と言えば当然です。
しかし、弁護士の場合、ポイントは、そこではないのです。「早い目に」というのがポイントなのです。弁護士が「早い目に」と強くお勧めするのには、理由があるのです。いくつか、分かりやすい例を示しますね。
消滅時効がある
請求権は、一定の期間が経過すると、時効により消滅してしまいます。
離婚の場合の証拠の収集
慰謝料、養育費、子の親権、財産分与など、離婚に伴い、解決しないといけない問題はいろいろあります。調停や裁判になった場合、事前に証拠を集めておくことが非常に重要です。
大げんかになって、子供を連れて別居してから、弁護士に相談にくるという方もいますが、別居後では、証拠収集に限界があります。同居しながら、証拠収集に全力を尽くすというのも手です。
相続放棄
親が巨額の借金を残して亡くなったという場合に、相続放棄は、非常に重要な防御手段です。しかし、相続放棄は、原則、自分が相続人になったことを知った日から3か月以内に手続を行わなければなりません(民法915条)。3か月を過ぎてしまった場合にも、特別な事情があれば相続放棄が認められることもありますが、いろいろと厄介ではあります。
遺産分割
親や兄弟がお亡くなりになった時に、遺産分割をすぐに行わずに放置して、長年経過すると、相続人の数がどんどん増えます。例えば、親が亡くなって、息子2人が相続人であったが、遺産分割協議をしないまま数年後にその息子達がなくなると、それぞれの嫁(=息子の妻)や孫達(=息子の子供達)が相続人になります。相続人の人数も増えるし、お互いの関係が疎遠になって連絡先も分からなくなることも珍しくありません。そうなる前に、遺産分割を終わらせましょう。
関係者の記憶が薄れます
裁判になった時に、第三者の証言が重要になることが多いです。しかし、人間の記憶は、すぐに薄れます。事件の直後に、証人の候補者とコンタクトをとって、書面を作成したり、証言を録音するなどの記録化をする必要があります。