離婚前の別居
私の無料相談では、離婚の相談と同じくらい、別居をすべきかどうかの相談が多いです。たとえば、「離婚の決心はつかないけれど、同居を続けることに耐えられないので、まずは、別居をしたい。」「自分一人で子供を育てていけるかどうか、試したい。その間に、もういちど夫(または妻)とやり直せるか、冷静に考えてみたい。」「夫(または妻)が離婚に応じてくれないが、同居に耐えらない。」というような内容です。
また、既に別居を開始したけれども、離婚に踏み切れないという御相談も多いです。
別居の御相談にいらした方の中には、夫(または妻)とやり直すという結論に至り、同居に戻った方もいれば、離婚に至った方もいます。私の経験からすると、そのまま離婚に至る割合のほうが高いです。
別居の御相談にいらした方に対しては、主に次のようなアドバイスをさしあげています。①別居中の生活費に困っている方には、婚姻費用分担請求調停の手続を勧めます。②ひとり親支援など行政のサービスを受けることをお勧めします。③一つの選択肢として、離婚の準備・手続の説明をします。
婚姻費用分担請求調停
「婚姻費用」。耳慣れない言葉ですし、実際、私のところに相談に来られる方も、ほとんどの方がご存知ありません。しかし、依頼者に非常に感謝される手続です。
どういうものかといいますと、離婚前の別居期間中、夫婦のうち、収入の少ない方は、収入の多い方に、婚姻費用分担の請求をすることができます。(簡単に言うと、「生活費をください」ということです。)なぜなら、別居していても、夫婦はお互いに扶養する法的義務があるからです。
当事者の話合いで婚姻費用の金額を決めることも可能ではありますが、実際には、「なんで、勝手に家を出て行った者に生活費を払わないといけないんだ!」と言われて話合いが決裂するのは目に見えていますので、早々に、裁判所の調停(「婚姻費用分担請求調停」といいます。)を利用して、請求することになります。
では、調停になった場合、どのくらいの金額で話がまとまるのでしょうか。裁判所は、目安となる婚姻費用算定表というものを、裁判所のホームページで公表しています。(こちらのページです。)これによると、例えば、夫の年収(控除前)が550万円、妻の年収(控除前)が125万円、こどもが1人で0~14歳の場合の婚姻費用の目安は月に8万円から10万円になります。ケースによって微修正がありますが、概ね、この算定表に沿った解決がなされます。
この婚姻費用分担請求調停は、離婚調停と同時に申し立てることもできますし、婚姻費用分担請求調停だけを申し立てることもできます。離婚の決心がつかない方であっても、積極的に活用してほしい手続です。私からすると簡単な部類の手続ですので、ご遠慮なくご相談にいらしてください。
行政のひとり親支援
最近は、どこの自治体でもひとり親支援に力を入れ始めていますが、私のいる練馬区も積極的に情報提供等の支援をしています。練馬区にお住まいの方には、別居する前に、区役所のひとり親支援係に行って情報を集めることを勧めています。経済的な支援、保育の支援、医療の支援など、どういう行政の支援を受けられるかを知ることはとても大切です。